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様々な苦難を乗り越えて、航空業界で夢と居場所を見つけたサリーの場合②

恋人からの暴力が原因で、

夢だった航空業界への就職を

諦めざるを得なくなった彼女。

 

トラウマを乗り越える過程や

働きすぎて心を病んだ過去など

いろいろと話を聞きました。

 

インタビュー①はこちら

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Q:でも、せっかく内定した会社に就職しなかったよね。それはどうして?

A:必要な単位が取れなくて、大学卒業が半年遅れてしまったから。もちろん会社は待ってくれなくて、内定は取り消しになった。半年後にようやく卒業したときには、就職先も決まっていない状況だった。

 

Q:なぜ単位を落としてしまったの?

A:原因は、当時一緒に暮らしていた恋人からのDV(家庭内暴力)だった。束縛や監視がひどくて、学校に行こうとすると「男に会いに行くんだろう」と疑われるから、怖くて家から出られなかったの。ナイフを首に突き付けられたこともあるし、私をかばって彼に吠えた飼い犬を大怪我させられたこともあって、「いつかこの人に殺される」って本気で思っていた。

 

Q:最初に暴力を受けた時点で、別れようとは思わなかった?

A:彼も色々と苦労していた人で、同情している部分もあったし、「私がこの人を変えてあげられる」って信じていたんだろうね。この心理は、経験した人じゃないとなかなか分からないと思う。最後は別れようとしたけど1人では難しくて、男友達数人に護衛してもらいながら、ようやく別れることができた。

 

Q:彼と別れて、大学を卒業した時はどんな気持ちだった?

A:就職が決まったことを喜んでくれていた両親に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。自分自身は「無」というか、まだ何かを感じる余裕がなかった。今でも、この頃の記憶は曖昧だったりするの。思い出したくないって、無意識にブロックしているのかもね。

 

Q:卒業後の進路はどうしたの?

A:卒業後も2年ほどNZに滞在して、劇場やカフェで接客やバリスタの仕事をしていた。カフェでの働きぶりが認められて、就労ビザを申請してくれることになったけど、結局ビザが下りなくて国を出なきゃいけなくなった。それで、当時付き合っていた彼と一緒に、ワーホリビザでオーストラリアに行くことにしたの。

 

Q:オーストラリアでの生活はどうだった?

A:予想外だったのは、隣国への引っ越しとはいえ思ったより費用がかさんで、親に借金をしてしまったこと。それを早く返したい一心で、メルボルンに引っ越して、翌日にはカフェとレストランで2つの仕事をゲットして、3日目には働きはじめていた。朝5時から午後3時まではカフェ、夕方からはレストランで仕事というスケジュール。若かったし、自分の気力や体力に自信があったとはいえ、食事も睡眠もまともに摂らずに、無茶な働き方をしていたと思う。

 

Q:そんなにハードな生活を、どれくらい続けたの?

A:半年ほど続けた頃には、自分でも体力が消耗しているのを自覚していた。だけど、ようやく借金を返し終わったところだったから、またお金を借りる事態にならないように少し貯金もしたかった。「もうちょっとだけ頑張ろう」って思っていたの。でも今思えば、それが間違いだった。借金を返した段階で、仕事の量を減らしておくべきだった。

 

Q:そのあと、どうなったの?

A:体力が消耗するにつれて、たばこやお酒の量が増えて、彼氏との関係もギクシャクするようになった。当時の恋人は、私に暴力を振るった彼氏とは正反対で、太陽のような人だった。だけど、私が働きすぎて疲労感が増すにつれて、以前の関係で自分の中に貯まっていた毒が出てくるような感じがした。お互い本当に好きだったのに、仕事を優先するあまり、彼のことも、自分の健康も、大事にできなかった。

 

Q:それで彼と別れたの?

A:そう。友達はみんなNZにいたし、唯一信頼できる人だった彼と別れて、心が折れてしまった。それでもひたすら働くことがやめられずにいたときに、職場の同僚でメンタルを病んだ経験がある人がいて、その人に病院に連れていかれたの。抑うつの薬を処方されて、それを飲みながらカフェの仕事を続けていたけど、まるで高価な薬を買うために働いているみたいだった。

 

Q:苦しい時期だね。仕事を辞める決意ができたのは、いつ?

A:こういうふうに話すと、ちょっとスピリチュアルに聞こえるかもしれないけど、そういうメッセージを感じる出来事があったから。その日は、早朝の開店から深夜まで1日中シフトに入っていたんだけど、また翌朝も開店から働いてくれないかって頼まれたの。心身ともに疲れ切っていた時期で、家に帰るのも面倒だったから、店の奥にあるソファ席で眠りにつくことにした。倒れるように寝入って、しばらくして気がついたときには、目の前に消防士がいて、周りは炎と煙に包まれていた。店が火事になっていて、なんとか救出されたときは、顔中すすだらけの状態だった。

 

Q:火事でお店が営業できなくなったから、仕事を辞めた?

A:客観的には、そう見えるかもね。でも、もしあの夜に火元に近い手前の席で寝ていたら、たぶん生き残れていなかった。そう思うと、「私はまだ死ねない」「生きなきゃいけないんだ」っていう強いメッセージをもらった気がしたの。だからこそ、日本に帰って、しっかり治そうって心に決めたんだ。

 

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★サリーの話②を聞いて、良いなと思ったこと★

1.恋人からのDVが原因で夢だった航空業界への就職を諦めなくてはいけない状況の中で、暴力をふるう恋人との別れ、半年遅れの卒業、海外での仕事など、迷いながらも足を止めずに前に進み続けたこと。

2.無茶な働き方をして心を病んでしまった当時を、冷静に振り返って深く後悔していること。

3.火事の夜に起こった出来事から、「生きる」という選択をしたこと。

 

★あなたへの質問★

疲れやストレスが溜まってきたとき、あなたの行動や体調には、まず最初にどんな変化が現れますか?

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