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アーティスト&起業家として奮闘するクリスティーナの場合(後編)

大学生の時に始めたビジネスは、

西洋版書道=カリグラフィー。

結婚式や企業イベントの招待状、

レストランのメニューなど

手書きの味わいには価値があるもの。

 

アーティストと起業家の2つの面を持ち

現在はメルボルンで奮闘する彼女に

色々と話を聞きました。

 

前編はコチラ

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Q:オーストラリア国内では、メルボルンはアーティストが多い街として知られているけど、バンクーバーと比べてどんな違いがある?

A:バンクーバーのアートコミュニティは小さいから、他との競争を意識したことがなかった。メルボルンでは、アート業界の母体も大きい代わりに、カリグラフィーをやっている人もたくさんいる。私はどちらかといえばモダン(近代的)寄りだけど、メルボルンでは伝統的なデザインの方が受けが良かったり、感覚の違いもある。全く知り合いのいない土地で、ゼロからビジネスを始める難しさを感じた1年だった。

 

Q:違いを経験するなかで、どんな変化があった?

A:最初の頃は、「自分の感覚や文化を、どうメルボルンに持ち込むか」と考えていた。実は、引っ越してくる1年ほど前、彼を訪ねてメルボルンに遊びに来た時に、ワークショップを開いたら満員の大盛況だったの。それで楽観的に捉えていたんだけど、いざこちらに引っ越してみたら、ワークショップをやっても1~3人しか集まらない。半年間、本当に色々と試行錯誤したけど、どうしても上手くいかなかった。それで悩んだ末に、自分の中の質問を「ここのアーティストたちは、どうやって成功しているのか」に変えたの。学ぶ姿勢にシフトしたら、色々なことが吸収できた。

 

Q:具体的には、どんな行動に?

A:アーティストが集まるスタジオに参加して、周りの人たちを観察してみることにした。ファッションもお洒落なカッコいい人たちばかりで、最初はちょっと気が引けたけど、話してみるとすごくフレンドリーな人たちばかりだった。私のこれまでの経験だと、世界的な高級ブランドからの依頼でも、私の報酬は数万円単位。でも、そのスタジオにいた同じ20代中盤の女性アーティストは、複数の有名ブランドから数百万円単位の依頼を受けていた。「え、そんなこと可能なの?」って思う話をたくさん聞いて、視野が広がった。

 

Q:その女性アーティストが、他の人より成功しているのはなぜだと思う?

A:とにかく自分からアプローチして、ダメでも次へ次へと行動し続けるところかな。「私はあなたたちと仕事がしたい。ちなみに、私は今までこんなことをやってきたアーティストです。」っていうふうに、自分からどんどんブランドに提案していく。一緒に仕事がしたいブランドや連絡先をリストにしていて、1週間たっても連絡が返ってこないときには必ず電話でフォローアップするし、断られても「1年後のX月X日に再度連絡する」ってメモしていた。

 

Q:なるほどー。他には?

A:誰かの役に立ちたい、って気持ちが強いと思う。私がクライアント探しに苦労しているとき、勇気を出して彼女に相談してみたの。「もしクライアントになってくれそうな人や企業の心当たりがあれば…」ってお願いしたら、「もちろん!」って快諾してくれた。2~3件の連絡先を教えてくれるだけでありがたいと思っていたのに、なんと翌日には50件ほどイベント会社や担当者の名前が載ったリストをくれたの!「もう担当者は変わってるかもしれないけど、あたってみる価値はあると思う」って言ってくれたときには、本当に感動した。

 

Q:オーストラリアに来て、一緒に暮らしている彼も何か変わったと思う?

A:私が来るまでの1年間、初めて海外で自立した生活をしたことで、彼も人間としてすごく成長したと思う。一番変わったのは、女性やマイノリティの立場に対する理解かな。彼のおばあちゃんは日本からの移民だけど、彼自身はカナダの白人社会に属する豊かな家庭に生まれて、男性として差別にあうこともなく育ってきた。私はというと、両親ともに中国系だから見た目もアジア人だし、女性として生まれ育つなかで、マイノリティとしての経験を色々してきた。

 

彼は、オーストラリアに来るまでは「何言ってるの?女性と男性は平等だよ」とか、「僕は女性もアジア系も差別しないし、周りでもそんなことする人はいない」とか、「それは過去の話でしょ」とか、そういうことを本気で言う人だった。私はそれにすごく怒りを感じていていたの。どれだけ研究結果やデータを示しても、耳を貸そうとしなかった。でも、オーストラリアに来て、自分自身が「よそ者」になる経験をしたことで、その感覚を理解したり、目に見えない不平等に気づくようになったみたい。

 

Q:無意識に差別していることを、自分で気づくのは中々難しいよね。

A:そうだね。彼のお父さんも、「僕はアジアの血が入った女性と結婚したくらいだから、偏見や差別なんてしない」って言うけど、私から見ると、性別や文化に対してすごく色々な固定観念を持っている。トランプ大統領が、いくら「僕は移民と結婚したくらいだから、人種差別主義者じゃない」って言ったところで、彼の言動を見れば真実は明らか。こういうトピックに関しては、正直フラストレーションに感じることが多い。

 

Q:カナダに帰ったら、何をする予定?

A:メルボルンでずっと走り続けてきたから、まずは少し休みたいな。仕事が好きだから、すぐまた動き出したくなるんだろうけど(笑)メルボルンで学んだことや、成長した自分を、どう生かすか。自分が外に出たからこそ知っていることと、その時の周りの環境をどうつなげるか。元の場所に戻るために、トーンダウンして自分を隠したり、思ってもいないことを口にしたりはしたくない。それ以外は、まだ具体的には分からないけど、きっとすべてうまくいくと思う。

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